興奮の4時間は回転す。『髑髏城の七人season月』
2018/1/28 上弦キャストについて加筆修正
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年末に生で下弦を、昨日一昨日とライビュで上弦と下弦を観てきました。
観劇が趣味のくせに初の劇団☆新感線。
感想は最高に面白かった!!です。2017年の舞台納め、この舞台で本当に良かったー!
上弦はライビュのみなんで、演出的なことは年末に見た下弦メインで書いていこうと思います。(演出自体にそんなに違いはないです。)連続してみることによりそれぞれの良さがわかってよかったです。
回転する客席について
事前情報をあんまり入れずに観たい派なので舞台が回転するとギリギリまで思ってた私。なるほど、客席が動くんだ?!とびっくりした。劇場が寒いとか見難いとは聞いていたんだけど、4列目のいい席だったためそんなに気にならず。ただ前に大きい人が座るとかなりきついかな?とは予想できました。
丸い客席の周りにドーナツ状に舞台があって、開演までは幕代わりの扉?が全部を覆っている。シーンごとに客席が回転し、扉が開いたら荒野になったり色街になったり髑髏城になったり。
これがアトラクションみたいで楽しい!ただ回転してるときに目の前の画面いっぱいに映像があるため酔いやすい人はきついかも。私は何度か目を閉じた。
スピード感重視の演出
約4時間ときいて耐えられるか?!とおもっていたんですけ度全然問題ない。むしろ早い!1時間半の1幕があっという間だった。観終わった後もう一回みたい!とすぐに思ったくらい。
とにかくテンポがいい!友人はもうすでに数十回みてるらしいんですが、全然飽きないとのこと。スカッとするし、お遊びも少々、登場人物も多いから前後ろ真ん中いろんな席で見たくなる。
!!!!!!!!ここからネタバレします!!!!!!!!!!!!!!
少年漫画のような王道ストーリー
話はめちゃくちゃわかりやすい。
本能寺の変で織田信長が明智光秀に討ち取られて8年が経過した時代。
天下統一を目前とした豊臣秀吉の支配がいまだ届いていない関東は、天魔王と呼ばれる仮面の男が率いる「関東髑髏党」に支配されていた。
なりゆき上、関東髑髏党に追われていた少年、霧丸を助けた捨之介は、偶然知り合った狸穴二郎衛門とともに、旧知の無界屋蘭兵衛を頼って色街「無界の里」へと向かう。
しかし、無界の里で霧丸を匿ってもらおうと思っていた矢先、里は髑髏党の襲撃を受けてしまう。天魔王と戦うことを決意する捨之介たち。
果たして捨之介や天魔王と蘭兵衛の因縁とは──?
でも蘭兵衛が捨之介たちを裏切って天魔王側につくとか、1幕終わった時点では思いもしなかったし、どうやって天魔王と戦うか?!何百人も切れる刀が欲しい!じゃあ毎回刀をとごう!とかコミカルで意外性のある展開があきさせないんだろうなと思いました。
移動式扉と映像による効果的な転換
個性豊かなキャスト陣がわいわいやってたり、殺陣シーンが多く、また劇場の機構を利用した演出が楽しい。
捨之介が荒野から色街にいくまでとか、一度扉が閉まってセットがなくなるんだけど映像が映し出されて、それが捨之介の移動とともに変わっていって、気がつくと色街になっていき、回転が収まると扉の継ぎ目が無界屋の扉になって、開くと色待ちのセットが!!て感じで転換も楽しめるのが凄い。
あんまり映像の多様は好きじゃないんだけど、背景の映像も絶妙なんだよね。ここまでストレスフリーかつ効果的に映像が使われているのは初めてで、投写?もスムーズ。その技術に感服致しました。
髑髏党の兵隊たちと霧丸と渡京が一輪車とスケボーに乗って追っかけっこするシーンとかも丸い劇場だからこそ追っかける時間が長くて凄い楽しかったなー!
しかし演者はウラで大変だろうな…ご苦労様です。
あとはセットがすごく作り込まれてて、色街は2階建てだし、髑髏城は抜け穴があったりして目にも楽しい。
川に水が流れてたり(そこで殺陣する!水しぶきが飛ぶ!)雨が降ってきたり、鉄砲から火花がでたり血しぶきがブシャー!って出たりするのも適度にびっくりして楽しいです。
キャストについて。
下弦キャストはバランスがいい!
これは個人的な意見だけど、下弦は身長や年齢のバランスがすごく良かったなーと。
よく身長とかが似てたりすると誰が誰かわからなくなったりするときありません?それがない。これってめっちゃ大事だなーと思いました。
捨之介(宮野真守)
声がいい!わかってたけど声がいいのよ。ものすごい滑舌が良くて聞き取りやすい。叫んでもつぶやいても通る。凄い。
あとは全部がでかい!声がでかいし背がでかいし顔がでかいし口もでかい!笑
でっけー口だなあ?!と驚きました。歯並びめっちゃいいね。(映像とかですぐ歯並びみてしまう)
からだが大きいから頼りがいのある兄貴感が強くてすごくよかったです。
基本はからっとしてて皆を笑顔にするために動いてるようなひとで死ぬほどお人好し!ってキャラ造形何だけど、時折見せる寂しい表情や空元気にも見える大仰な表情、年令ゆえの渋みで何とも言えない宮野真守の捨之介だったなーと感じました。
天魔王(鈴木拡樹)
も~!!!!最高!!!大好き!!!
もともと好きだったんですけど、最近はあまり追いかけれてなかったんですけどこの天魔王役がド好みだったので推しそうになりました。また舞台みたくなるー!困る−!でも見る−!
鈴木拡樹という人が今まで培ってきたものを最大限に活かされていたのではないでしょうか?舞台の場を支配する力がこの人にはあるんだよなーとしみじみ感じました。
ひろきくんの表情って時々やりすぎだな?!と感じることが多かったんですけどその顔芸ともいえる多彩な表情が天魔王メイク(白塗り眉なし聖飢魔II並のアイライン)とこの劇的で圧倒的な悪の存在としてはめちゃくちゃあってた!
声もドスがきいた声が心地よいし、声色をガラッと変えて猫なで声を出したりするのも面白くて飽きない。ライビュの時、「ココが大阪城ココが髑髏城」ってセリフがなんか裏声?で面白かった。良い遊び具合。
あまりにも好きなので天魔王を応援してしまう私。蘭兵衛とともに無界屋襲撃して女たちを斬り殺しまくるシーンは凄惨ですがものすごく興奮する。キャー!もっと殺して!みたいな気持ちにさえなる。何だこれは…危ないわ。
蘭兵衛(廣瀬智紀)
う、美しいー!なんて黒髪の長髪が似合うんだ!儚げな美青年風の蘭兵衛。笛を吹く姿は絵のごとし。耽美でした。口から血を流すシーンとか丸尾末広の美少年が如し。眼福。
しかし多分癖?だと思うんだけど独特の喋り方だよね?時々息が詰ま理想な瞬間があってたびたび聞きづらく、そこが残念でした。でもあの独特の震えがあるから切ない蘭の説得力もあるんだよなあ。殺陣はすこしゆっくりめだけどどんどん良くなってる感じがあるので又見るときに期待。
霧丸(松岡広大)
アミューズ信者の私としては推してなくてもアミュの子と言うだけで嬉しくなってしまいます。そんな広大ちゃん。
宮野捨が大人なので、その弟分としてついて回る姿が可愛くいじらしい。また舞台を縦横無尽に動き回る姿。その少年漫画の主人公感たるや!
アクロバットやダンスが得意なのは知ってたけど本当に軽やかで霧丸という役にぴったりでしたね。どっしりとした宮野捨にちょこまか動く小柄な広大霧はとってもバランスが良かった。ラストの「もう、決めたんだ!」ってニコっと笑って捨之介を追う姿。ああなんてあなたはジャンプの主人公なの…(ナルトやってたしね)
この二人のバランスも良かったー!兵庫の木村さんのひょうきんで、でもまっすぐ。バカだけど男前な感じが関八州荒武者隊の良いリーダーなんだなあってのが伝わってくる。羽野晶紀さんの太夫はとてもキュート。ライビュではちょっと声がキンキンしてたけど劇場では思わなかったな。なんでだろう?
太夫の歌う「君死にたもう事なかれー」はいい曲だなあ。
渡京(伊達暁)いん平(インディ高橋)
この二人面白すぎた。
渡京は粟根さんの当たり役ということだけど、この伊達さんの渡京、すごく好みでした。あの独特のメイクも映える。気持ちいいほどの裏切り者感。台詞の間のとり方がうまい。最高。
いん平は具が見えそうな褌一丁の姿がインパクトデカすぎ!!衝撃的だった。時々何言ってるかわからんけど(笑)
上弦キャストはビジュアルがいい!
普段テレビ畑の人が多いからか?すごいライビュ映えするなー!と思いました。ゲキシネになるかな?楽しみ。
捨之助(福士蒼汰)
主役の福士くんがとにかくずっとかっこいい。叫んでも笑ってても苦しんでても顔崩れないのすごくないですか?!
これが今映像でバリバリ出まくってる人の実力か…とうなりました。本当にアップの顔がいい。そしてスタイルがいい。
下弦にくらべて若いから少年漫画感が強くなりますね。爽やかだー!
蘭兵衛(三浦翔平)
あまり縁がなくて演技をちゃんとみたことがなかった三浦くん、めちゃくちゃカッコよくてびっくりした。
下弦蘭と比べてだいぶオラオラしてて、ちょっとチンピラっぽい?下弦見たとき蘭が裏切るのすごいびっくりしたんだけど、三浦くんの蘭は野心とか強そうだからまぁ裏切るのもわからんでもない…?と言う説得力が。
そして殺陣が早くてどっしりしててよかったー!もっと見たい。
天魔王(早乙女太一)
殺陣が早すぎて異次元…
殺陣がすごいってのはテレビとか、薄桜鬼(ミュじゃないやつ)で知ってたけど、これはもう別格でした。マント捌きがカッコよすぎる。
ひろき君の殺陣もいいんだけど、早乙女天魔王はちょっと頭一つ…どころじゃないくらい抜けてる。これが本職の技か!
歌舞伎っぽいというか、すこし劇的なウィスパー声が特徴的な早乙女天魔王。これはこれでいいんだけどすこし聞き取りにくいかな。
そして福士くんと三浦くんが割とオーソドックスな演技なのでなんか一人世界線が違いすぎるような気もする…
霧丸(平間壮一)
アミュ教なので楽しみだったそうちゃん。
めちゃくちゃカッコよかったし可愛かった…正直そーちゃんのことは眉毛がへんなダンスうまい人って認識だったんだけど(ごめん)いやー!アクロバットの安定感とセリフの言い回しがめちゃくちゃうまい。そーちゃんの演技もっと見たい!ってなりました。
福士くんと歳が近いのもあって、弟分感がすこし物足りないかなぁ…上、下弦チェンジしても良さそうだけど。
上弦、個々すばらしかったのだけど、霧丸の平間のそーちゃんと兵庫の須賀健太くんが年も近くてイメージが重なっちゃうのがちょっと残念でした。兵庫と極楽太夫の年齢が離れ過ぎなのも、あまりにも親子みたいでロマンス的にキュンとはなりにくかったなーと。須賀くんの兵庫はめちゃ可愛らしかったんだけどね。お調子者の感じが可愛かった。間の取り方もいいし。ほんとに個々はいいんだけど。
そういえば渡辺いっけいさんの狸穴はすごい聞き取りやすくて、有り難かった!劇場の機構のせいもあるんだろうけど下弦の時なんて言ってるかわからないセリフが多かったんだけど、それが全部聞き取れました。笑
上、下弦、どっちがいい!というのはないかな。好みの問題かなぁとも思うけど、上弦みたら下弦みたくなって、下弦みたら上弦みたくなる。この永久機関みたいなのどーにかなんない?!笑
こんだけリピートしたくなる舞台もなかなかないので、推しに出てほしいなぁ…と思いました。通う価値がある。
髑髏城、太田さんがでてたらどの役かな~?って妄想して楽しんでました。
天魔王と蘭兵衛、どっちもみたいな。捨之介ではないかなー。カラッとした役より湿り気がある方が似合うので。観てみたいです。新感線さん、よろしくお願いします。